どうも、ウサギ島行きたいってだけのかげろです。
まあ愚痴でしかないっちゃそうなんですが、このへんでギブギブって感じで積み重なった理由の中で「みなし残業制度」がストレスの割合としてそれなりに多かったのでひとつ、気持ちの整理になるかもしれないと思って書いてます。
※2023/3/12追記 この記事について、古い記事のためすこし注意書きを。この記事は2017年当時、自分の主観で考えをまとめたものだったと思います。ですので完全に自分視点のポジショントークです。他の立場や知見から、これとは違う意見もあるだろうことは承知してます。また、この記事は2017年に書かれたものです。2023年の今とは、いろいろ事情や状況が違うところもあると思います。そのあたりご容赦を…
「みなし残業」とは
まず軽く前提を振り返っておきますと。固定残業制度、所謂「みなし残業」とは、実際に残業したかどうかに関わらず、あらかじめ一定時間分の残業代を支払うようにする制度です。
例えばみなし残業30時間であれば、実際には残業を全くしなくても30時間分の残業代が乗ってくるわけです。さらに、もし残業時間が30時間を超えてしまったら、超えてしまった残業代については追加で乗せることになります。
つまり効率よく仕事を片付ければ残業代分が追加で貰える! 夢のような制度ですね!
「みなし残業」はWin-Winたりえない。誰もが損になるその理由
まあそんな労働者にうまい話なんてなかった。
「30時間分の残業代を先払いしている」状況は、経営者(払う側)からすると「30時間分残業させなければ損」、労働者(受け取る側)からすると「残業したぶんだけ損」となります。
つまりどういうことになるか。経営者が損した分だけ労働者が得をし、労働者が得をした分だけ経営者が損をするシーソーゲームになるのですよ。
でまあ、実際の結果として1日1時間程度、20日として1ヶ月で20時間残業が発生したとしましょう。
すると経営者目線としては「あと10時間分の残業代を先払いしていたのに」労働者目線としては「20時間分無駄に残業をした」って気持ちが残るだけで誰も喜んでない。
…ここでちょっと言いたいことはわかりますよ。労働者はすでに30時間分を貰っているから、10時間分得をしたと受け止めるべき、でしょ? そんなふうに思うわけないじゃん。30時間まではやってもやらなくても同じなんだからやっただけ損でしょ。それこそ効率とか考えている人ほど、そう思うんじゃないでしょうか。
私は基準の残業時間をオーバーすることのほうが珍しい労働時間でしたので、基本的にはみなし残業代で「得」をしていたはずでした。まあでもそういうことです。
この制度、受け取る金額としては労働者側に損がないはずなのに、なんでか気持ち悪いし納得感がないと思ってずっと考えていたのですが。システム的にシーソーゲームであることに気がついたときは納得感と絶望感が同時にありました。
勝者が誕生するパターンとしては「残業ゼロで終了した場合」これは労働者が完勝で経営者が完敗。「残業時間が規定時間を超えたとき」これは経営者が完勝で労働者が完敗。Win-Winのパターンはない。
でもこれ、理解のない経営者が悪いとか言いたいわけではないです。「みなし残業」と呼ばれるシステムがunkoであると言っているだけです。むしろ払う側の気持ちはわかるわ。誰だって30時間分のお金払ったら30時間分働いてほしいじゃん。例えば整体とかで60分のコースのお金払って、30分くらいで「僕は腕がいいので30分で60分と同じ効果が出せますから」って終了されたら(実際に同じだけ効果があるかはともかくとして)「は???」ってなるじゃん。そういうことだと思ってます。
ああ、逆にWin-Winになる場合はどういうパターンなのかを考えると、経営者が「残業20時間までで仕事を終わらせてくれた! 時間を短縮してくれてありがとう!」労働者が「残業20時間しかしてないのに30時間分もらえた! ありがとう!」みたいなありがとうの気持ちがあふれたときでしょうか。ハハッ。
そういうわけで、システム的に「こいつは駄目だな」って判断した理由は上記になります。あとはただの率直な感想と呼ばれる愚痴とかそういうのです。
そういう制度で働いてみての正直な感想
残業代30時間分引かれてる感じしかしない。徒労感がある。
以上。
「残業代が固定されるから早く帰るために効率化する」なる欺瞞
私がみなし残業制度のところで作業工数を見積もるときに言われたのは「残業代はすでに払っているから1日の作業量は10時間で見積もれ。それを8時間に短縮できたら帰って良い」でした。なるほどね。(もう10年近く前のことですから今でもそうなのかは知らないと言っておきます。当時そう言ってた責任者もういませんし。途中から適当に「1日」で見積もって適当に帰ってましたし)
みなし残業、およびその上位版であるホワイトカラーエクゼンプションでよく聞くのは「残業をするメリットが減るから早く帰るようになる、効率化する」みたいな戯言ですが。結果どうなったかといいますとはじめから残業ありきで見積もることになりました。お疲れ様でした。
「効率化すれば早く帰れて残業代分も貰える」の欺瞞
「残業すると損だから効率よく業務を片付けるようになる」よくある戯言ですね。作業10時間で見積もっといてか。
この話には欺瞞が2つあります。ひとつは会社の仕事は8時間区切りで終わるようになってないこと。もうひとつは、逆説的に「仕事が終わらないのは貴様がのろまだからだ」と労働者の責任に転嫁されていること。
ひとつめはまあ、察せられるかもですが仕事って手順をこなしていればきっちり終わるようなものじゃないし(逆にそうなら効率化の余地なく予定通りの時間で終わるはず)、割り込みなんかで1~2時間ずれるのもざらじゃないですかね。そして別に「今日の分」とか分けて用意されてるわけじゃない。つまりやろうと思えばどこまででも仕事はある。だから効率化すれば残業はなくなるってのがまず欺瞞。
で、これが次の責任の所在に絡んでくるんですが、つまり+30時間分の仕事も合わせて平常時間内に終わらせられるはずだから30時間分の残業代を払うよって話しかしてなくて、それが達成できないのは労働者が悪いよね? って話になってきます。
つまり、まあ、「残業代は30時間分出すが仕事が終わったら帰っていい(終わる仕事量とは言ってない)」+「時間内に終わらないのは効率が悪いからだから努力しろ」の合わせ技ってところでしょうか。
結局慢性的に残業はなくならないんですがそもそも残業ゼロとか目指してないし。目指してるなら発生しないはずの残業代を前払いするような真似しないでしょ普通って考えるとあー、ねえ…って感じですね。
みなし残業代は有給を取ると収入が地味に減る(という誤解があった)
これはもしかしたら会社によるかもしれませんが。みなし残業代はあくまで「残業代」であるので、有給を使用した日には適用されません (残業発生しないですからね確実に)。
その結果、有給を使ったぶんだけ地味に減ってくような状況になり、「有休使うと給料が減るからあんまり使いたくないんだよなー」って声が聞こえてくるようになってました。
そもそも全体的に有給をそんなに消化しようって風潮でもないのでいっぱい余ってるのはそれが全ての原因ではないですけどね。そして結局年度末に消えてくだけだし。
(ただ逆に、そのおかげで有給が1ヶ月以上残っていたためまあこれこんだけありゃなんとかなるべかと割と後先考えず辞表出せました。こまめに消化してたらもっと慎重になっているところだった。怪我の功名ってやつですね!)
※2017/11/26追記
私の勤めていたところについては欠勤でなければ固定残業代は減らさず支給されておりました。つまり有給でも出ていました。
他の会社ではどうかわからないのですが、ここだけは追記しておきます。
これは私の思い込みだったので私が悪いんですが、社内で先輩に聞いたときもそういう認識だったので、この誤解が広まってた可能性ある。
見せかけの賃金上昇から降りられなくなる
このあたりを見直そうって話が一度、過去に出たこともあったのですが。そのときの私のスタンスとしては「計算上残業代は出ているし、残業時間が少なくてもむしろ出るから今のほうが良い」でした。まあ今から考えると間抜けな話でしかないですが、当時この話で頭をよぎったのは「みなし残業代がなくなったら、同じだけ残業しないと収入が維持できないのでは」でした。本当に間抜けだと思います。
私は割と後悔しない (するほど考えてないとか言わない) 性質ですけど、これは当時ちゃんと考えておけばと今でも思うところです。
ちなみにこの提案をしてくれてた人はもう転職済みでして。まあ正しい。幸あれ。
見せかけ高給に関しては、転職ドラフトで一悶着あったことも記憶に新しいですね。といってもそろそろ一年前になるのか。
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また基本給上げずに残業代として追加する理由として賞与への反映があります。賞与計算は基本給をベースに行われるので、残業代として支給されている分は除かれますから。このあたりも「見せかけ」だと思われる一因です。
「みなし残業」を採用しているところはまず最初にフィルタリングしてもいいのではないか
なんでまあ、僕としてはこれからみなし残業とかいうクソシステムを採用しているところは積極的に避けていきたいと思ってます。これの上位版に年俸制(残業代なし)ってパターンもありますので気をつけていきたい。ああでも一千万とかだったら即決だよね?
(そしてフリーランスの募集とか見ていると、基準時間とか言って30~40時間程度の幅があるものばかりで、あれ要するにみなし残業だよなあってなってるところでもあります。まあ個別の契約になるからそのへんでなんとかできるかもしれないし、そもそも金額自体が高かったり裁量があったりすれば気にならないかもしれないし。割と感情の問題でもあって、いろいろ違うからやってみないとわからんところでもあります)
振り返ってみるとみなし残業が今の私の考え方にマッチしてないだけだなって感じでもあるので、気にならない人は気にならないかもしれないしそれはそれでいいんじゃないかなとは思いますが。
アレで残業削減とか効率アップとか成果がどうとか言ってるのを見かけても超ウケルくらいしか言うことがない。
この制度を採用しているところは逆に慢性的に残業があるんだって思った方が良いのかもしれません。金額的には(そこで普通に残業するより)みなし残業があるほうがいくばくか多くなるのかもしれませんけどね。
僕はそれこそ残業時間は減らして願わくば基本ゼロにしたい。だからそうする努力をしているところが良いです。ほんとに素晴らしいですよ。定時で帰ってくると本も読めるしブログも書ける。
(一応言っておきますと、今でも残業時間はみなし残業時間以下ではあるので、世の中の過労死候補生な方々と比べると随分ラクだとは思います。だからやっぱり長々と書いてきたように、気持ちの問題ですね)
あんまりまとまってないですが、これから就職や転職を考えている方に、またこの制度を採用している側の方とかに、参考にでもなれば幸いです。
そうそう、「みなし残業時間は繰り越せる」なんて割とヤクい記事も見つけましたので参考までに。
定時で帰ったら「みなし残業代分くらい働けよ!」と叱られました
同様に、毎月の「みなし残業代」に相当する残業時間を大幅に下回った状態が続く場合、会社は労働者に未実施分の残業をさせることができます。みなし残業時間と実残業時間の差を翌月以降に繰り越せるとした判例もあります。
やはり、みなし残業とか言ってるところには近づくべきではないのかもしれません。
2018/3/27追記:
IT業界ある意味みなし残業当たり前なのでマイナスポイントとしつつもまたみなし残業の会社に入ってしまったわけですが半年経たずに絶賛足抜けしたい感じです。やはりみなし残業には関わるべきではない。
※みなし残業時間を超えた分の残業代は追加で出るはずです
(2023/3/12追記)
固定残業代制(みなし残業)の話題になると、支払われる残業代の上限についての誤解がよく出てくるように思います。みなし残業時間を超過しても、支払いはみなし残業分だけで良いみたいなやつです。
みなし残業時間を超えた分の残業代は別途支払われる必要があるはずです。参考にリンクしていた先/a>にも、そのような記載があります。
しかし、みなし残業制度として定額の残業代が支払われていても、実際に行われた残業が多く、残業代が定額の残業手当を上回る場合に、上回った部分については、企業は別途残業代を支払わなくてはならず、実際に行われた残業が少なくても、定額の残業代は支払わなくてはなりません。
さらに、残業が多かった月に定額の残業代を超えた分を支払わず、残業が少なかった月に支払われたものとすることもできません。
これは残業代未払いの話になりますので、本記事の趣旨とは別の問題になります。たぶん書いてた当時もこれは理解していたはず。またそのとき働いていたところも超過分は支払ってくれていたと思います。
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