自民党の改憲草案について「創作物(アニメ・漫画・同人誌など)は関係ない」と主張するデマが回っているようなのでメモしておきます


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 発端は自民党改憲案についてのこちらの記事。

表現の自由に制約「当然」 自民、改憲草案撤回せず

(記事が消えてしまっていたのでWeb魚拓で)

 

 で、それに対する反応として自民党憲法草案は創作物と関係ないみたいなデマを見かけて「ああー」って感じになったのでちょっとメモ。

漫画表現を規制する自民党の改憲草案について(1次ソース、過去の関連報道、デマ訂正ツイートなど)

 上の記事はデマ記事ではありませんが、記事のなかでそのような話題を見かけた感じです。

この草案の問題点とは

 改憲案の2項として追加されている、この文言。

前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない

 「公益及び公の秩序を害するものは表現の自由として認めない」と明確に書かれております。文言だけ見るとなるほど当然と思うところもあるかもしれません。

 

 しかし、では何が公益及び公の秩序を害しているのかっていう話をするとですね。これがわからない。

 僕の中の常識だけで判断すると、テロリストや犯罪組織、これらの集結を阻むための話かと思います。これについての異論は無い。でも他の方の常識で判断したときに、エロ漫画やBLは風紀を乱すと判断されるかもしれないし、物語のテーマとして近親相姦はいけないと判断されるかもしれないし、同性婚は伝統的家族観を乱すと判断されるかもしれないし、政府の政策に反対するものは国家を乱すと判断されるかもしれない。

 「公益および公の秩序」が範囲広すぎて何をもってアウトとするのかを誰がどう決めるのか全くの白紙であり、それが「ただ、何が「公益及び公の秩序」に当たるかは曖昧との指摘がある」と指摘されている理由です。

 

 そして、その誰かの決めた「公益及び公の秩序」に国民は従わないといけないと考えられていることも、自民党の中谷氏が「これについても「国民も憲法を尊重すべきことは当然」と指摘した」との部分から読み取れます。

 

 自民党憲法草案については、このように国民が主体ではなく国家が主体となり義務を課してくるようなところが散見されることが問題点とされていまして、憲法本来の役目とされる政府国家が暴走しないため国民から課す制約としての機能が失われ、意味が逆転している節すらあると感じています。

 (個人的には押しつけられた憲法より筋の悪いもの出してきてどうするって気持ちでいっぱいなのですが本題からズレるのでおいておきます)

 (あと誤解されたくないので書いておきますが、上に並べた意見、内容について、それぞれがそう考えることについては私は否定しません考えることは止められないでしょう。そういう意見は(個人的な是非はともかくとして)あっても良い思っています。しかし誰かの「それ」を元にしたシステムで取り締まるとなると話が違ってくるわけで)

「アニメ・漫画・同人誌などの創作物に制限が加えられることは誤解」なるデマの流布

 そういうわけで、創作物がこの改憲草案の影響下にあることは明白ですが、それが誤解だと言っている記事があるようです。

某メディア「自民党が『表現の自由に制約は当然』と解答した!」→ツイッター大荒れ!→実は全然そういう話じゃなかった

(アクセスを与えたくないのでarchive.isをリンクします)

 こちらのサイト「はちま起稿」では、まず「表現の自由の制約は極めて当然のこと」とした自民党改憲案に触れ、その後に「恐らく大多数の人がアニメ・漫画・同人誌などの創作物に制限が加えられると誤解」と述べ、追加された条項を引用し「要するに「表現の自由」を盾に反社会活動することは「表現の自由」とは認めないというもの」と続けて最後に「タイトルだけ見ると山田太郎氏が守ろうとしてる同じ「表現の自由」だと思われるけど全然別物 これはひどい」と結んでいます。

 

 ではここでその山田太郎氏の自民党憲法草案に対する意見をご確認ください。

 山田太郎氏も「自民党の憲法草案では、表現の自由に制限が付きます」と明言されております。つまりそういうことです。

 

 本当に勘違いしているのか、わざとミスリードしているのかまではわかりませんが、そういうことなのです。これはひどい。

 

(2016/12/4 追記)

「さんちゃんねる」第256回で、この問題について触れられています。41:50くらいからこのあたりの話題になって、明確に問題であると発言しています。(山田氏が自民党憲法草案を支持しているとされる)ネットの噂についてもばっさり否定しています。

将来的なセキュリティホールへの懸念

 ただ、自民党が先に述べたような様々なものを制限するために改憲を進めているのかについては少し違うのかもしれないと考えるところもあります。もしかしたら現時点で話し合いに立っている方々は、そんなことではなく、純粋にテロを防ぐための材料を増やしたいという気持ちからなのかもしれません。または、国民をよりよく導いていきたいとかそういった善意で行っているのかもしれません。

 ですが、今の時点での目的が純粋にそれだとしても、先に述べたようなセキュリティホールとなる基準のあいまいさと国民に対する制約を盛り込むことを考えると、個人的にはNOです。

 原理原則的な話になってしまいますが、実際にテロの準備や犯罪を実行しない限りは、どのような思想の結社だろうとシステム的に排除するようにはできない、することのほうが弊害が大きくなると思っています。後でどう使われるかわからないですからね…

 

 そういえば、大陸のほうの国では「民族団結、国家の宗教政策、社会の安定などを「破壊」する内容の映画は許可しない」風潮のようです。公益および公の秩序を乱すからでしょうか。

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